本物の能面や甲冑をまとった武者人形が、絢爛豪華に合戦絵巻を描き出す

 つるがの『やま』は全国の山車の中でも成立が古いと考えられています。上下2段の構造になっており、等身大の武者人形で合戦絵巻を表現し、贅を尽くした幕を飾るなど、大変豪華なのが特徴です。

 各山車の名称には、江戸時代の町名が付けられています。

【上段の飾り】
上段には舞台座を設け、本物の能面・甲冑、金襴などの衣装をまとった武者人形と、これもまた豪華な馬具を付けた馬像を乗せて合戦の場面を表現します。武者飾りは江戸時代頃から始められたといわれ、かつては毎年趣向を凝らし題材を変えていました。

舞台座の中央には、松の木を立てて神の依り代とし、その左右には太陽と月を現す金と銀の玉(日輪・月輪)を先端にかかげ、紅白の旗を吹き流しにした旗竿をたてます。また、舞台座の後方には、山に見立てたとされる扇形の幌があり金襴を巻いて飾られます。

【下段の飾り】
 下段には、舞台座を囲む高欄の下に、刺繍や織物など、技術と贅を尽くして作られた水引幕が掛けられます。円山応挙や塩川文麟といった有名な絵師が下絵を描いたと伝わる幕もあり、それ自体が大変貴重な美術品です。その下の胴枠は胴幕で覆われます。

【車輪】
車輪は左右3輪ずつあるのが特徴です。敦賀独自の進化とみられ、カーブを曲がりやすいように真ん中の車輪が若干大きくなっています。かつては太い丸太を輪切り状にしたものが用いられていました。

【土台】
 装飾を外した山車は、白木で組まれたシンプルな作りになっており、昔は釘を使わず、木の蔓や縄、楔などで組み立てられました。かつては毎年の巡行後に解体し保管されていました。

各山車の紹介(6基)

御所辻子山車

くじ引きなしの一番手!恵比須神を祀る楼閣を持つ山車

金ヶ辻子山車

1人の人物に救われ、敦賀市の文化財となった山車

唐仁橋山車

円山応挙が下絵を描いたと伝わる“牡丹に唐獅子”の水引幕

東町山車

塩川文鱗が下絵を描いた “琴高仙人図”の水引幕

観世屋町山車

敦賀城主大谷吉継の勇姿!盟友石田三成と戦った『関ケ原合戦』が題材

鵜飼ヶ辻子山車

つるがの山車で唯一、女性が曳く山車